出産の費用はいくら?軽減措置はある? 民間の医療保険は必要?
2023.09.19
皆さま、いつも大変お世話になっております。
FP目線でお役立ち情報を月1回配信させていただくコラム、第13回目となる今回は、仙台の独立系ファイナンシャルアドバイザー法人、株式会社レバークの小野寺が担当いたします。
待ちに待ったかわいいわが子との対面が近づいてくるにつれ、ちょっぴり不安になってしまうのが出産にかかる費用。特に出産のために入院したときにいくらかかるのか、準備のために前もって知っておきたいですよね。
今回は出産に掛かる費用や、負担を軽減する制度などについて解説いたします!
急にそのときが来て慌てないよう、入院費・分娩料全体の目安と、経済的負担を軽減するための制度を確認し、参考にしてみてください。
出産時の基本的な入院費の内訳は?平均費用総額はいくら?
出産にかかる入院費と呼ばれる費用のなかには、一般的に「分娩料」「基本入院費」「新生児の入院費(新生児管理保育料)」といったものが含まれています。(個室を希望した場合は別料金がかかります。)
費用総額は病院(診療所や助産院)や受けるサービス(部屋や追加オプションなど)によって異なりますが、次の通り正常分娩と帝王切開に大別されます。
◆正常分娩の相場は40~50万円
公益社団法人国民健康保険中央会の調査による2016年度の正常分娩の出産費用は、全国平均で約50万円でした。
ただし地域によっても差があり、もっとも高い東京都では平均約62万円、一方もっとも低い鳥取県では平均約39万円と大きな違いがあります。
参考にですが、10年ほど前の私小野寺家の出産費用は、長男が52万円、長女が61万円ほどでした。
◆出産による入院は約1週間でおよそ11万円+分娩料25万円
また、同調査によると、入院日数の平均は6日となっており、その間にかかった入院料は平均約11万円、分娩料は平均約25万円という結果となっています。
◆帝王切開の場合は、どの医療機関でも費用は一律
帝王切開の場合、手術にかかる費用は診療報酬点数で計算されるため一律です。
2020年の点数を見てみると、緊急帝王切開は22万2,000円、選択帝王切開は20万1,400円となっており、32 週未満の早産など複雑な場合は2万円が加算されます。
正常分娩の平均値より低額の傾向にありますが、入院日数が7~10日と長くなりやすいため、入院費用が上がる点に注意が必要です。ただし帝王切開の場合は健康保険適用となります。
◆無痛分娩は医療機関によって異なる
近年では無痛分娩を希望する妊婦が増えていますが、その料金は医療機関によって幅があります。正常分娩の分娩料に、10万円ほどが加算される病院が多いようです。
出産費用の負担を軽減する制度にはどんなものがある?
妊娠・出産のためのお金については、病気ではないことから健康保険の対象外となるため、基本的に全て自費です。
大きなお金が必要となる出産ですから、できるだけ負担を軽くしたいもの。少子化対策のために国や自治体が行っている補助がありますので、積極的に利用するようにしましょう!
◆出産育児一時金
出産費の負担を軽くするための措置として、忘れずに利用したいのが出産育児一時金です。
子ども1人あたり50万円を受け取れるというもので、場合によっては全額をカバーしたうえでおつりが出ることもあります。42万円をオーバーした費用については自費で支払う必要があります。
直接支払制度を利用すれば、加入している健康保険組合等から病院に直接50万円が支払われ、妊婦やその家族は必要に応じて差額のみ、つまり総額60万円だった場合は10万円の支払いにすることができます。
同様に、支給額の超過分のみの支払いで済む制度として「受取代理制度」もあります。こちらは被保険者が申請手続きをする必要があります。
出産一時金と受取代理制度、どちらが利用できるか、前もって病院に確認しておきましょう。
これらの制度を利用しない・できない場合は、産後に全額を自費で支払い、改めて健康保険組合等に申請する必要があります。
◆出産手当金と育児休業給付金
出産手当金は、産後に産休前と同じ職場で働く場合に受け取れるお金で、過去12ヵ月の給与を基準に日給の3分の2相当額が支給されるというものです。出産日以前42日(双子など多胎妊娠の場合は98日)から、産後56日目までの範囲で休んだ日数から計算されます。
育児休業給付金は国が支給するお金で、育休をとる母親だけでなく父親も対象です。産後8週から最大で子どもが2歳になるまでが支給期間となり、その金額は育休開始から180日までは休業開始時賃金の67%、181日目以降は50%です。
◆出産に備え、民間の医療保険には入るべき?
正常分娩の場合、基本的に入院・出産に対して保険金の支払いを受けることはできませんが、帝王切開や早産などの場合は医療保険から給付金を受け取れるため、女性の方はなるべく早めに加入しておくのがおすすめ◎
注意すべきこととして、医療保険のなかには妊娠が判明した後には加入できなかったり、または加入しても妊娠が判明した後は、妊娠・出産に関する保険金の支払いが無かったりといった条件が設定されてる場合もあります。
できれば妊娠前に入っておくのがベストですが、妊娠が分かってから加入できる保険もあります。
◆出産費用が医療費控除の対象になる場合も
出産にかかる費用は医療費控除の対象になるものもあるので、場合によっては確定申告をすることで税金の還付を受けられることもあります。病院の領収書はもちろん、通院に使用した交通費の明細も残しておくと安心です。
各種制度や医療保険を正しく利用するために、事前の準備をしっかりしておきましょう!
想像していたよりも高額となる可能性のある出産入院費。
自分たちが利用できる制度や医療保険にはどういったものがあるのか、利用のためにはいつ・どのように動けばいいのか、把握しておくことが大切です。
ご結婚を予定されている方や、ご結婚間もない方など、ご自身やご家族の保険内容などを確認してみるのをおすすめいたします。
「自分の家庭では出産にどんな備えが必要なのか」、「出産費用のために医療保険に加入する必要があるのか」「保険料や保障内容はどんなものなのか」、お悩みの方はぜひ株式会社レバークまでお気軽にご相談ください!